エレキギターの多彩な音作りに欠かせないエフェクターですが、エフェクターには大きく分けて“コンパクトエフェクター”“マルチエフェクター”の2種類があります。
オーバードライブやディストーション、コーラスやディレイなど数あるエフェクトのうち、1~3個程度のエフェクトを1つの筐体に内蔵したエフェクターを“コンパクトエフェクター”
多数のエフェクトや便利機能をひとつの筐体に内蔵したエフェクターを“マルチエフェクター”と言います。
今回の記事は、初心者がエフェクターを選ぶ時にまず立ちはだかるであろう、“コンパクトとマルチ、どちらを買うべきか”について解説していきます。
もくじ
コンパクトかマルチ、どちらを買うべき?
結論から言いますが、初心者には“マルチエフェクター”がおすすめです。
コンパクトエフェクターが必ずしもダメという訳ではありませんが、コンパクトは中/上級者向けかなと筆者は考えているので、ピンポイントでやりたいジャンルや欲しいサウンドが定まっていない限りは、マルチエフェクターを選んだ方が無難かと思います。
コンパクトとマルチの特徴
初心者にマルチエフェクターがおすすめの理由を解説する前に、まずはコンパクトとマルチ、それぞれの特徴を一覧で比較してみましょう。
コンパクト/マルチの特徴
コンパクト | マルチ | |
エフェクト内蔵数 | 1~3個程度 | 50~180個程度 |
予算 | エフェクトの数だけ必要 | 1~30万円/1台 |
サイズ | エフェクトの数だけ大きくなる | だいたい1人分の枕程度の大きさ |
トラブル頻度 | 多い | 少ない |
サウンドの質 | 高い | そこそこ |
カスタマイズ性 | 高い | 低い |
操作方法 | 簡単 | 難しい |
一覧を見ると、どうもマルチエフェクターの方が優れているように見えますが、ここからはコンパクトとマルチそれぞれの特徴を踏まえて、なぜマルチエフェクターがおすすめなのかを解説していきます。
初心者にマルチエフェクターがおすすめの理由
マルチは多数のエフェクトを内蔵している
1台につき約1~3種類のエフェクトを内蔵しているコンパクトに対して、マルチは1台につき約50~180種類ものエフェクトを内蔵しています。
どんな種類のエフェクトがあるのか、そのエフェクトがサウンドにどんな効果をもたらすのか分からない初心者がマルチエフェクターを使うことで、体感的に様々なエフェクトを学ぶことができます。
エフェクトについて学んで、サウンドにこだわりが生まれたら好みのコンパクトエフェクターを探すのも良いでしょう。
マルチは比較的低予算
コンパクトエフェクターは必要なエフェクトの数だけ、エフェクターそのものやエフェクター同士を接続するパッチケーブル、電源供給するためのパワーサプライ、乾電池、アダプタなど膨大な機材を集めなければいけず、かなりの予算が必要です。
マルチエフェクターは1台の価格が入門モデルで1~2万円程度。
1台買ってしまえば完結してしまうので、予算や手間を省く意味でも初心者にとっては負担が少ないでしょう。
マルチは総合的なサイズが小さい
コンパクトエフェクターは先述したとおり、必要なエフェクトの数だけ必要な機材が多く、機材をまとめておくためのエフェクターボードはついつい大きくなりがちです。
マルチエフェクターは1台の大きさがだいたい1人分の枕程度のサイズなのでそこまでかさばることは無く、総合的なサイズはマルチエフェクターの方が小さいと言えます。
マルチはトラブルが少ない
コンパクトは多数のケーブルを接続しているため、音が出ない、音痩せする、接触不良によるノイズなど何かとトラブルが起こりやすいです。
マルチは電源供給アダプタを1本、ギター~エフェクター、エフェクター~アンプに接続するシールド2本のみなので、比較的トラブルに強いのが特徴です。
初心者であれば出来るだけトラブル要因は少ない方が安心ですよね。
マルチにもデメリットはある
一見すると優れているマルチエフェクターですが、デメリットはあります。
単体のサウンドの質は低いかも
コンパクトは1台につき1~3種類のエフェクトに特化しているため、複数のエフェクトを1台にまとめて内蔵しているマルチに比べるとさすがに質が高いものが多いです。
しかし、最近のマルチエフェクターは全体的にサウンドなどの性能が上がっているので、初心者であればそこまで気にならないかもしれませんね。
マルチはカスタマイズ性が低い
マルチは1台に内蔵されているエフェクトの中から組み合わせて音を作ることしか出来ませんが、コンパクトは自分の好みによってエフェクターをピンポイントで入れ替えて、自由自在にエフェクトを組み合わせることが出来ます。
自分の好きなジャンルやサウンドが変わったとしても柔軟に対応できるのが、コンパクトエフェクターの強みです。
マルチは操作が難しい
マルチエフェクターはこれが一番の難点です。
コンパクトはエフェクトのON/OFF、コントロールの調整など単純な操作だけですが、マルチはエフェクトや機能が豊富な分、コンパクトと比べると扱い方が難しいモデルが多いです。
初心者におすすめのマルチエフェクター
マルチエフェクターのメリット/デメリットを知ったうえでマルチエフェクターの方が良いと思った初心者に向けて、おすすめのモデルを紹介していきます。
BOSS / GT-1
ライブや自宅練習、宅録なんでも出来る万能でコスパ最高なマルチエフェクターが欲しいならコレ!
エフェクター界の王座に君臨し続けるBOSSブランドのマルチエフェクター。
シンプルなデザインながら迫力のあるサウンドで、自宅練習やライブのどちらでも大活躍します。
本機にはオーディオインターフェースを搭載しており、宅録や動画配信用としても非常に優秀で、価格も20000円程度と初心者でも手を出しやすく、場面を問わず幅広く活躍するので非常にコスパが良いです。
ボディが軽量なうえ角張っていないエッジレス設計のため、ギグバッグやケースに入れて持ち運びしやすいのも魅力ですね。
ちなみに、本機は取扱説明書を熟読するだけで全ての機能・操作を理解するのは正直厳しいです。
取り扱いで行き詰まってしまったら、こちらの「BOSS GT-1の教科書」がおすすめです。
基本的な操作からちょっとした裏ワザまで快適に使うためのテクニックが詰まっています。
ZOOM / G1 FOUR
出来るだけ安く済ませたい!自宅練習用で充実した機能のマルチエフェクターが欲しいならコレ!
ズームは日本の電子楽器・音響機器メーカーで、ギター用エフェクターはズームブランドの看板的存在。
BOSSに続く国内における3大ギター用エフェクターメーカーの一つと言えます。
60種類以上のエフェクトに加えて、実在のギターアンプ13種類のサウンドを再現したアンプモデルを内蔵。このアンプモデルの再現度が非常に高く、個人的にお気に入りです。
ドラムの音源を再生出来るリズムマシーンも搭載しており、さながらセッションをしているかのようにギターを演奏出来るのも良いですね。
自宅練習に便利な機能を有していながら、価格も10000円以下で買えるというコストパフォーマンスの高さが魅力。
付属の取扱説明書が非常に簡易的な内容のため、ズームのホームページにある本機の取扱説明書を読みながら操作したほうが理解しやすいと思います。
ZOOM / MS-50G マルチストンプ
安価で多数のエフェクトを内蔵。マルチエフェクター入門用にピッタリ!エフェクターボードの省スペースにも!
コンパクトエフェクター程度のボディサイズになんと100種類ものエフェクト(うち8種類はアンプモデル)を1台にギュッと詰め込んだマルチストンプ。
100種類ものエフェクトを最大6種類まで同時使用出来ます。
歪み系+空間系、歪み系+歪み系、クリーン+モジュレーション系+空間系など、自分のプレイスタイルやジャンルによって組み合わせは自由自在。
初心者のマルチエフェクター入門用としても申し分ない性能と価格で高いコストパフォーマンスを誇ります。
サイズが小さいのでエフェクターボードに収まる万能なエフェクターが欲しい人にもおすすめ。
1台で何役もこなすので、エフェクターボード内の省スペース化にもおすすめです。
Line 6 / HX Stomp
1台で全て完結!初心者から中・上級者まで長く使えるマルチエフェクター
Line 6はアメリカ合衆国の音響機器メーカーで、ヤマハの子会社。BOSS、ZOOMに次ぐ日本国内3大エフェクターメーカーの一つ。
超コンパクトなボディに上位機種の「Helix/Mシリーズ」に内蔵されているエフェクト・アンプモデルを含め、約300種類以上を搭載。自分で作ったモデル・エフェクターの組み合わせ(プリセット)を、専用のソフトウェアを使用すればPC上で自由に保存・呼び出しが出来ます。
オーディオインターフェース機能も搭載。より高音質で快適な宅録環境を整えたい方におすすめ。
一般的なコンパクトエフェクターより少し大きい程度のサイズながら、他のエフェクターは何も要らないくらい汎用性が高いので、初心者はもちろん中・上級者まで長く使えるおすすめのマルチエフェクターです。